終末のひととき

ノイズな空を塞ぐ 鋼のオブジェ
罪の数だけ引き裂かれて昇天中。
逝き場なく彷徨う人魂の行列は
まるで阿弥陀籤(あみだくじ)だ。
どれにしようかな。

奇妙な世界が映る ぬるい水たまりは
むかし遊園地で
ゆりかごのブランコ 無理に乗せられて
放り出されそうで。
いっそ 放り出されれば。

あの時から狂ってる時計台が
いま 厭味なほど正確で
「すべては手遅れだ」と
為(し)たり顔で見栄を張る ボクらを責めるよ。

「かつての世界的大都市は いまや見る影もない」 らしいが
ボクにはわりと 好みの風景なのに 失敬な話。

「不気味な雲の筋は神の指紋だ」と
どこかの有識者が洒落た途端
雷が天誅 下したよ。
ちょうどキミがやって来たあのあたりは壊滅だ。

鮮やかなクロマキ劈(つんざ)き
大地・空・海・炎とヒトが混ざり迫り来る。
彼の最期の台詞は
さぞかし不本意だったろう。
笑えない冗談は 禁物だ。
教訓じゃないよ。 美意識だ。

たとえばキミが寡黙なように。
たとえばボクがこうするように。

「かつての奇跡的惑星は もはや見る影もない」 らしいが
ボクらはとうに 覚悟を決めてる。
むしろ絶景。

そういえばまだ名前を訊いてなかったね。
終末のひととき お目にかかれて光栄です。
乾杯したいね。 ボクはビールがいいな。 キミはなにがいい?
参ったな。 それは無理だよ。 ごめんね。
ああ もう時間が無い。
いやあ。
それにしても 暑いね。